「パートナー」って呼ぶ必要ある?と思っていた友人の話
カップルや「ふうふ」のどちらかを呼ぶときには、これまで「彼氏/彼女」「夫/妻」「旦那さん/奥さん」などの呼称が一般的に用いられてきました。
しかし近年は、相手の性別を限定しない、ニュートラルな呼び名として「パートナー」という呼称を目にする機会も増えてきたと感じます。
皆さんも、「パートナー」という言葉を普段の生活で使ったり耳にしたりすることもあるのではないでしょうか?
あえて相手の性別を限定しない言葉を用いることについて、なかには
「めんどくさい」
「気にしすぎ」
と感じる人もいるかもしれません。
今回は、「パートナー」という言葉をわざわざ使う必要があるのか疑っていた、Aさんのエピソードを紹介します。
「異性愛が当たり前」ではない
「パートナー」という呼称を使うことについて、「めんどうくさい」「効率が悪い」と感じたことはありますか?
でも、その「めんどくさい」「効率が悪い」の陰に、日々「いないことにされている」と感じる人がいることもまた、事実です。
マンガで出てきたように、ある人に対して、初めから恋人が異性であるとみなし、「彼女」もしくは「彼氏」がいるのだとして話を進めることは、相手を異性愛者であると決めつけてしまう行為です。
「パートナー」などのニュートラルな呼称を用いることは、異性愛を前提にせず、相手のセクシュアリティを尊重する意思の表明になります。
「その人が付き合っている人は異性じゃないかもしれない」という想像力を1人ひとりが持つことは、異性愛者ではない人たちにとって居心地のいい空間をつくることに繋がるのではないでしょうか。
問題ありかも?な呼び方いろいろ
パートナーを指し示す日本語にはさまざまな表現がありますが、みなさんはどのように呼ばれたいですか?
これまで何気なく使ってきた呼び名の中にも、改めてその意味を考えてみると、なんだかモヤっとくる言葉がいくつか目につきます。
すでに使わない人が増えてきた呼称ですが、「嫁」「奥さん」「家内」などの呼び方には、「家の中にいて、家事をする人」「男性に仕える人」といったニュアンスが含まれます。
また、男性の呼び名については、「ご主人」「旦那さん」といった呼称がよく使われますが、主従関係を表す語であるため、男性がトップに立つ家父長的な家のあり方に深く根付いた呼び方であるといえます。
相手の家族を敬う気持ちで何気なく使う人はいるでしょうし、単なる言葉上の約束ごととして割り切っている人もいるでしょう。でも、これらの呼称を使われた側は、表に出さないだけで、違和感を感じているかもしれません。
夫婦間における呼び方なら、お互いの名前やあだ名、ジェンダーニュートラルではないですが、「妻」や「夫」などであれば、差別的な意味が含まれることはありません。
2017年に行われたネット調査では、配偶者から「妻」と呼ばれることを希望する女性が全体で最も大きい割合(23パーセント)を占めることが明らかになりました。
しかし同調査では、男性からの配偶者に対する呼び方のトップが「嫁」、次いで「奥さん」ということもわかっており、本人が呼ばれたい呼び名と実際に使われている呼び名の間にギャップがあることが指摘されています。
パートナーの呼び方に正解はありませんが、本人の望む呼び名を使う方が、お互いの関係にとってよいですよね。
さらに、「彼女/彼氏」や「妻/夫」といった呼び方は、指し示される人の性別を男女のどちらかに限定してしまいます。
その人の性別からパートナーの性自認を推測することはできませんし、異性婚をしているからといって、性自認が男女のどちらかであるとは限りません。
その点では、「パートナー」という呼称はジェンダーニュートラルであり、差別的な意味も含まないため、相手を傷つける可能性が最も低い呼び方であると言えるでしょう。
「パートナー」というカタカナ言葉に親しみが持てない場合は、「連れ合い」や、少し堅苦しいですが、「配偶者」「伴侶」などを用いるのも1つの手です。
パレットークでは以前、相手のパートナーのことを「ご伴侶さま」「伴侶」と呼ぶようにしている体験談をマンガでご紹介したこともありました。
「〇〇さんのパートナー」ではなくその人自身の名前で呼ぶのもよいかもしれませんね。
おわりに
今回は、「パートナー」という呼称について、そのほかの呼び名と比較しながら解説しました。
徐々に浸透してきた「パートナー」ですが、他の呼び名に比べればまだまだ使っている人は少数派のようです。
「日常の会話で何気なく使っていた呼び方が、実は異性愛や男女二元論を前提にしていたのかもしれない」と気づく人が増えることで、今後、「妻/夫」に代わるような、誰も排除しない呼び名が登場したらよいなと思います。
(文章:𠮷元咲)