60代の私たちが同性婚の法制化を望む理由 ソファに座り、談笑する二人の女性
鳥籠のある室内。温かい飲み物を飲みながらソファで談笑する大江さんと小川さん。 大江さん「もう30年以上、隣には彼女がいる」
楽しそうに話す小川さんを優しく見つめる大江さん。 「しかし、この当たり前のような時間がどれだけ続いても、私たちの関係は法的には守られない」
1991年、高円寺 レズビアン当事者の集まりにて、談笑する女性たち。 大江さんと小川さんの目が合う。
会釈をするふたり。 自己紹介で「えーっと、私は鳥が好きで...」と大江さん。 「えっ!大江さんも鳥、好きなんですか?私も!」と嬉しそうな小川さん 「これうちの子〜」とインコの写真をみせる小川さん。 「かわいい〜!」と大江さん。 大江さんのナレーション「インターネットが普及していなかったあの頃」
「まだまだ レズビアンが集まる場所は少なかったけれど、お店やコミュニティにチラシを置いてもらい、一緒に過ごす 仲間たちに出会うことができた」 「「あなただけじゃない」「いっぱいいるから」そう声を掛け合ってきた」 レズビアン交流会 と書かれたパンフレットが置かれているコミュニティ スペースの様子。 談笑するレズビアン女性たち。
北海道旅行でドライブをする大江さんと小川さん。 「わ〜〜〜!気持ちいい〜〜〜!」「広大だねえ〜〜」 車に乗りながら笑顔で話す
助手席で地図を見ながら 大江さん「あ 道間違えたかも?」 小川さん「あはは、大丈夫!何とかなるって! 大江さんのナレーション「普段よりも見えてくる彼女の頼もしい一面 」
晴れやかな顔で湖畔を見つめる 大江さんと小川さん
大江さんのナレーション「この人といると、安心する」 小川さん「ねえ これからも いろんな景色一緒に見たいね 」
嬉しそうな 大江さん「うん」と言い、手をつなぐ 二人。 大江さんのナレーション「この先もずっと隣で生きていきたい、そう思った 」
「そして...」 中野区役所で、二人がパートナーシップ宣誓書を受け取っている様子
2人がパートナーシップ宣誓をしたことが新聞に載っている 保護猫活動仲間「これよかったら クッキーなんだけど、お祝い!」 近所の人「区報見ました!おめでとうございます !」
もらったクッキーを食べている2人 小川さん「嬉しいね」 大江さん「うん」 二人とも嬉しいけれどやるれない表情 「それでも国からは法的に守られないんだよね」「うん」 大江さんのナレーション「もう私たちも 60代になる」
2人の北海道旅行の様子を背景に 大江さんのナレーション「これからもしものことがあった時、私たちが紡いできた30年以上の年月はなかったことのように扱われるのだろうか。年齢を重ねてきた今、その不安はより大きなものになってきている。」
大江さんのナレーション「若い頃から私は 婚姻制度 自体 へ 違和感を持ってきた」 昔の家制度と今も結びついている結婚 家制度 ・男性の家に女性が嫁ぐ ・男性が稼いで女性は家事 今の結婚制度 ・認められていない 選択的夫婦別姓 ・男性がメインで働くことを前提とした配偶者控除 制度 自体の不平等さは少しずつ変わってきているけれど ・2024年 再婚禁止期間 ・2013年 婚外子相続差別 ・2022年 婚姻開始年齢 まだまだ残る課題も多い
大江さんナレーション「こうした結婚制度に対して、同性カップルの私たちだからこそ開けられる風穴があるんじゃないか。私たちが 声を上げることで、結婚制度そのもののあり方について考え直すきっかけになると思うから。」
大江さんナレーション「2025年4月現在 5つの 高等裁判所で同性婚を認めない 民法 や戸籍法の規定が違憲であるとの判決が下されているけれど 政府はこれを受けても一向に動こうとはしないでも私たちはもう待てない」
大江さん ナレーション「 私たちのように、今すぐに 同性婚が必要な人たちのために、立法を呼びかける 動きが強まってきた。この勢いを止めないよう、住んでいる地域の国会議員に同性婚の必要性を伝えたり、署名をしたりなどのアクションが求められている」
大江さん ナレーション「法律上 同性同士の2人が結婚から排除される 正当な理由などないということは、違憲判決がこれだけ出ている事実が物語っているのではないだろうか。若い世代にも将来、自分の思い描く人生を大切な人と描いていけると伝えていけたらと思っている」 お互いを見つめ、手を繋ぐふたりの姿

【レズビアン可視化週間】不平等な現状に風穴を。大江千束さんインタビュー

4月26日は「レズビアン可視化の日」。

そして今年は、可視化の日が含まれる4月21〜28日が「レズビアン可視化週間」とされています。

「レズビアン可視化週間」とは、レズビアン当事者を祝福し、同時にすべてのLGBTQ+の女性、そしてノンバイナリーの人々への連帯を示すことを目的とした1週間のこと。

今回パレットークでは、このレズビアン可視化週間に合わせ、公益社団法人「Marriage For All Japan 結婚の自由をすべての人に」とのコラボを実施。「結婚の自由をすべての人に訴訟」原告の大江千束(おおえ ちづか)さんにお話を伺い、マンガを制作しました。

本記事では、マンガで紹介しきれなかったお話を、トピックごとにお届けします。

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80年代後半〜90年代のレズビアンコミュニティとフェミニズム

80年代後半、大江さんが初めて足を踏み入れたレズビアンコミュニティには、さまざまな背景をもつ人たちが参加していました。

たとえば、レズビアンやバイセクシュアルの女性だけでなく、今で言うところのノンバイナリーやXジェンダー、トランス男性に当てはまる人たちなど。当時はまだ「LGBT」という言葉が知られていなかったこともあり、さまざまな性のあり方も含めて「レズビアン」とカテゴライズされていたのです。

最近では多様な性のあり方を表すラベルが増えてきたことによって、それぞれがしっくりくる言葉を見つけ、安心できるようになっている。そんな変化を、大江さんも身近に感じていると言います。

また、大江さんが関わっていたコミュニティの中にはフェミニズム(ウーマンリブ)の運動に携わってきた女性たちも多く、フェミニズムの考え方、そして「お互いの人権を尊重しよう」という意識がしっかりと共有されていたとのこと。

アクティビズムの延長線上にあるようなコミュニティの空気に、大江さんはあらためて「やっぱり個人が主体性を持って発信していいんだ」と背中を押してもらえたと言います。

インタビュー中には第2波フェミニズムのスローガン「個人的なことは政治的なこと」にも触れながら、日本社会全体の課題として、人権の問題として、婚姻の平等やジェンダー平等に取り組んでいくことの大切さを語ってくださいました。

婚姻制度に批判的だった大江さんが、婚姻の平等を求める理由

現在は「結婚の自由をすべての人に訴訟」の原告として活動されている大江さんですが、以前は婚姻制度の家父長的なあり方への違和感から、「レズビアンであるということは置いておいても、私は結婚しないだろうな」と考えていたそうです。

男性は18歳なのに対し、女性は16歳と定められていた「婚姻開始年齢」(2022年に男女ともに18歳に改正)や、女性にのみ課されていた「再婚禁止期間」(2024年に廃止)、いまだに選択的夫婦別姓が実現していないことなども、婚姻をめぐる法の不平等さを物語っていますよね。

しかし小川さんとのパートナー関係を30年以上続けていくうちに、お互いの関係性にも、ご自身の考え方にも変化が訪れます。

人生の半分近くを「未来を共にするパートナー」として生きてきても、戸籍上の性別が同じというだけで異性カップルのように関係が保証されないこと。そのせいでどちらかの身に何かあったとき、「ただの友人」や「ただの知り合い」、「ただの同居人」とみなされてしまう現状。

ふたりで一緒に歳を重ねていくにつれて、現行法の不平等さを実感する機会が増えていく…。

そんななかで、次第に「権利獲得運動の1つの着地点として、同性婚の法制化が必要である」と考えるようになったそうです。

同性婚を求めるレズビアンカップルとして声を上げることで、婚姻の平等、そしてジェンダー平等をめぐる現状に風穴を開けたい。そんな思いが、大江さんが原告になった理由のひとつでした。

判決の行方を注視?残すは「国会への働きかけ」

2025年4月現在、訴訟は大詰めを迎え、数年のうちに最高裁判決が出されることが予想されています。

2025年3月25日の大阪高裁の判決では地裁での唯一の合憲判決が覆され、これまで出された5つの高裁判決はすべて違憲判決という結果です。

タイトル:「ここまで出た判決はどうなってるの?」  過去の複数の裁判判決を一覧で示した画像。憲法違反かどうかの判断と日付、裁判所、関係する憲法条文が記載されている。  違憲:2021年3月17日 札幌地裁(14条1項)  合憲:2022年6月20日 大阪地裁(※ただし、「将来的に違憲となる可能性はある」とした。)  違憲状態:2022年11月30日 東京地裁(1次)(24条2項)  違憲:2023年5月30日 名古屋地裁(14条1項/24条2項)  違憲状態:2023年6月8日 福岡地裁(24条2項)  違憲状態:2024年3月17日 東京地裁(2次)(24条2項)  違憲:2024年3月17日 札幌高裁(14条1項/24条1項・2項)  違憲:2024年10月30日 東京高裁(1次)(14条1項/24条2項)  違憲:2024年12月13日 福岡高裁(13条/14条1項/24条2項)  違憲:2025年3月7日 名古屋高裁(14条1項/24条2項)  違憲:2025年3月25日 大阪高裁(14条1項/24条2項)👏

高裁で5連続の違憲判決が下されているにもかかわらず、日本政府は「判決の行方を注視する」との答弁を続けています。

主要メディア等の世論調査では、婚姻の平等に対する「賛成」の割合は常に「反対」の割合を上回り、調査によっては賛成が7割または8割を超えているものもありますが、その中で「実際にアクションをおこしている」という人はまだまだ多くはありません。

「なんとなく、同性婚はできてもいいんじゃない?自分には関係ないけど…」と思っている人が、「傍観」から「行動」への一歩を踏み出すことが大切なのではないでしょうか。

婚姻の平等を実現するために、いま、あなたの声が必要です。もし「結婚の自由をすべての人に訴訟」を応援したいと思った人は、一緒にできることから始めてみませんか。

署名「日本でも同性婚の実現を!政府・国会は「注視」でなく、最高裁判決を待たずに今すぐ同性婚法制化へ動いてください。」はこちらから↓
https://www.change.org/MarriageForAllJapan2025

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