彼氏の弟の結婚式で思ったこと。場所は結婚式。スマートフォンを片手にこちらに手を振っている髪色の明るい眼鏡の男性。その隣で黒髪の眼鏡の男性が微笑んでいる。
今回のエピソードでは、ゲイ男性がパートナーの弟の結婚式に参加した1日を描いています。 パートナーの家族や親戚に温かく迎えられることもあれば、思わず苦笑いしか出ないような言葉をかけられることも...。 結婚式という「たり前とされてきた結婚観」を痛感させられる場所で、未来の若い世代に寄り添える大人でありたい、とあらためて思わされるエピソードです。
明るい髪の眼鏡の男性「タク」と、黒髪の眼鏡の男性「裕太」がスーツ姿で準備をしている。二人は同性カップル。タク「ねー裕太、ネクタイこれでいいかなあ」裕太「いいと思う!早くしないと!」今日俺は、彼氏のタクについて、タクの弟の結婚式に参列する。家のドアに鍵をかける裕太。
結婚式会場にて。スマートフォンを片手に新郎新婦に手を降るタク、それを笑顔で見ている裕太。新郎新婦をビデオで撮っている。笑顔で手を振り返す新郎新婦が映っている。
披露宴にて。裕太の名札がタクの隣にあり、親戚の中に置いてある。それを見て受け入れられていると頬が緩む裕太、ニコニコしているタク。
タクの両親に声をかけられる裕太。タク母「裕太くん、今日は来てくれてありがとうね」裕太「こちらこそ呼んでいただいて、ありがとうございます。この度はおめでとうございます」それを見ているタク、ニコニコ。
タクのおじ「はじめまして。タクのおじです。タッくんから話は聞いてるよ」おば「今度うちにも遊びにきてね」裕太「はい!」タク、それを見てニコニコ。タクは親戚の中でも、信頼している人には、俺を前もって紹介してくれていた。
トイレに立っている裕太「それにしてもタクは親戚が多いな…人が多すぎて、紛れられてるかも…?」少しホッとしたような雰囲気でトイレで手を洗っている裕太。
トイレから戻る裕太、タクの親戚のおじがタクに話しかけているのを見る。おじ「弟に先越されちゃったなあ、タク。まあでも、これからいい出会いもあるさ。周りの友達も結婚し始めてるだろ」
おじ「…ん?君はタクの友達…だよね?よかったら、誰かいい人紹介してあげてよ〜」裕太、少し居心地悪そうに「え〜っと…」と苦笑い。タクと目が合い、タク、小さく「ごめん」と返す。
タク「まあ、俺はいいんだよ。それより今日は弟のこと祝ってあげてよ」おじんそうだな、あはは」親戚の5、6歳くらいの子どもたちが裕太に気づき、声をかけてくる「誰〜?」
裕太「…えーっと」親戚のお姉さん「タク兄ちゃんの大事な人だよ。みんな優しくね」裕太、少しかがんで「こんにちは、裕太です」タク「俺の相棒だよ〜」
親戚の子どもたち「ふ〜ん」「ゆーた?」「これ見て〜」「かけっこしよ!」と思い思いの反応を見せる。子どもたちの相手をしてあげる裕太とタク。「早く結婚しないの?」みたいな、「できるもんならしたいよ」と返したくなるような声掛けもされたし…。
結婚式という場は普段以上に、「当たり前」とされてきた結婚観を痛感させられやすい。ファーストバイトをしている新郎新婦。でも、タクの家族に寄り添ってもらえたことや、「タクのパートナーとしてその場にいられた」という時間があったことも、ちゃんと覚えておきたい。
そして、今日の俺がしてもらったように、俺もこれからこの子たち(親戚の子どもたち)にさり気なく寄り添える側の大人でありたい。結婚式もお開きになり、新郎新婦から引き出物をもらっている裕太とタク。タク、親戚の子どもに手を振っている。たとえば、もしセクシュアリティで悩む子がいれば…。
今日みたいないい日に、「大切な人との関係性や性のあり方を隠さなきゃ」と思わせる側ではいたくないと思った。帰り道、遊ばれ疲れてボロボロの裕太とタク。電車でどさっとシートに座る。タク「子どもの体力って、すごいね…」裕太「明日は筋肉痛だろうな~」

【マンガで解説】プライド月間に私たちが想像する未来。彼氏の弟の結婚式で思ったこと

今年もプライド月間がやってきました。

1969年、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」で警察が行った不当な踏み込み捜査に対する抵抗から始まった「ストーンウォールの蜂起」。これを記念して、毎年6月には世界中でLGBTQ+コミュニティの権利啓発やコミュニティを祝福するイベントなどが行われています。

日頃からLGBTQ+に関するトピックを発信しているパレットークですが、今年のプライド月間には「The future is queer “ストレート”じゃない未来をあなたと想像するために」というテーマのもと様々なコンテンツを発信していきます。

今回は、同性のパートナーと交際する主人公が、彼氏の弟の結婚式に参加した際に感じたエピソードをマンガでご紹介しています。エピソードを寄せてくれた方は、いつもにも増して異性愛規範を強く感じると同時に、次世代の子どもたち、これからの社会のあり方についても考えさせられたと言います。

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“当たり前”ってなに?異性愛規範とシス規範とは

私たちの社会は長い間、「男性と女性が恋をして結婚し、子どもを育てる」というモデルを“普通”としてきました。それだけでなく、性自認も「生まれたときに割り当てられた性別=自分の性」とする考えが前提になっている場面が多くあります。

こうした考え方を異性愛規範(ヘテロノーマティビティ)、そしてシスジェンダー規範(シスノーマティビティ)と呼びます。異性愛規範とは、恋愛・性愛の対象は異性であることが当然とされる考え方。シス規範は、自分の性自認が出生時に割り当てられた性別と一致していることを前提とする考え方です。

もちろん「異性愛者として生きること・シスジェンダーとして生きること」自体はなにも間違ったことではありません。問題は「このあり方だけが “正しい”」とされる社会構造。それ以外のあり方が「例外」や「異端」とされてしまう、もしくはそもそもその存在がないことにされてしまう点にあります。

たとえばマンガの中でタクは親戚のおじさんから「これからいい出会いもあるさ」という言葉をかけられます。

「男性は女性と恋愛をするもの」
「恋愛・結婚が幸せな人生の道筋」

というおじさんの価値観は、目の前にいるタクの同伴者(主人公)とその2人の関係性をないことにしてしまっています。

これが積み重なると、異性愛者・シスジェンダー以外の人は「自分の存在は想定されていない」と感じたり、もしくは自分の生き方を説明し続けなければいけなくなったりと、何気ない空気のなかに誰かを排除する力が働いてしまうのです。

世界と日本で広がる不安と可視化されない声

異性愛規範やシス規範による生きづらさは、個人の問題にとどまりません。いま、世界でも日本でもLGBTQ+を取り巻く状況は揺れ動いています。

日本では、婚姻の平等(同性婚の法制化)を求める訴訟が各地で続いています。日本の「結婚の自由をすべての人に」訴訟では、今年3月に大阪高裁が地裁唯一の合憲判断を覆し、これまでの5つの高裁判決はすべて違憲判決という結果になりました。しかし国の法改正は一向に進まず、多くの法律上同性のカップルが法の枠外に置かれたままとなっています。

それだけでなく、今年2月には、精子や卵子の提供を伴う不妊治療の対象を法律婚の夫婦に限定し、同性や事実婚のカップルなどへの提供を行った医療機関に罰則を科す内容を含む「特定生殖補助医療法案」が参議院に提出されました。

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世界的に見ても、LGBTQ+コミュニティに対する政治的な攻撃が広がっています。特にトランプ大統領が再選したアメリカでは、LGBTQ+、特にトランスジェンダーの人々の人権をないがしろにするような大統領令が次々と出され、すでに一部の州ではトランスジェンダーに対する医療アクセスの制限や、トランスジェンダー排除の法案が進められており、トランスジェンダーやノンバイナリーの子どもたちの生きる権利が脅かされています。

さらに、Aセクシュアルやノンバイナリー、Aロマンティックといったセクシュアリティやアイデンティティは、社会のなかでまだまだ可視化が進んでいません。存在が認識されづらいことで、「いないことにされる」空気が生まれ、孤立や自己否定感を生みやすい状況があります。

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The future is queer “ストレート”じゃない未来をあなたと想像するために

シスジェンダーであることや、男女間の恋愛や結婚を前提とした社会の制度や風潮。 “ストレート”な一本道を前提としている社会で、それに沿わない性/生を生きる人々は、自分の望む未来を「実現できるもの」として想像することがまだまだ難しい現状が世界中で続いています。

だからこそ、私たちは “ストレート”じゃない未来を想像し、選び取っていくことが必要なのです。私たち一人ひとりの日常の中にある “当たり前”に問いを立てること、小さな違和感に気づくことが最初のステップになります。

たとえば、「彼氏・彼女いるの?」ではなく「パートナーいるの?」と尋ねてみる。結婚や出産を “人生のゴール”とする会話に違和感を覚えたら、そのことをシェアしてみる。多様なセクシュアリティやジェンダーのあり方について学び、まだ可視化されづらい声に耳を傾ける。その一歩が、誰かの居場所や、未来の社会の空気を変えるきっかけになるはずです。

またこうした “個人の意識”に留まらず、法律や制度を「よりよいもの/1人ひとりの生の実情を反映したもの」に変えていくことがとても重要です。

署名で声をあげるには

日本でも同性婚の実現を!政府・国会は「注視」でなく、最高裁判決を待たずに今すぐ同性婚法制化へ動いてください。

📝 https://chng.it/wDVMT2cSwN

今国会で提出されている#特定生殖補助医療法案の修正を求めます

📝 https://chng.it/PfPvLW4VNL

プライド月間は祝福の月であると同時に、過去を振り返り、今を見つめ、未来を描く時間でもあります。”ストレート”な価値観だけじゃない、多様な未来を想像し、その実現に向けて歩みを進める。そんなきっかけをこの6月にみなさんと一緒に作っていけたら嬉しいです。

The future is queer.

あなたの想像が、未来の空気を変えていきます。

梅雨の湿気をふきとばす!プライドマンスに聴きたいブチアゲプライドソング募集中

プライド月間に際し、読者のみなさんのお気に入りプライドソングを募集し、PalettalkのSpotifyアカウントにてプレイリストを作成・公開します(プレイリスト名は未定です)。ぜひお気に入りの曲を教えてください!

テーマ:梅雨の湿気をふきとばす!プライドマンスに聴きたいブチアゲプライドソング
募集期間:2025年6月15日まで

※Spotify上に公開されていない曲は対象外となります。また未成年を含む幅広い年代を対象としたプレイリストとなりますのでご了承ください。お寄せいただいたすべての曲を採用できない場合もございます。あわせてご了承ください。

お名前の後に【プライドソング】とつけて、体験談フォームからお寄せください!

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