『恋人同士ならセックスしてあたりまえ』ってほんと?
今回のマンガのあらすじ。 「恋人同士はセックスするのがあたりまえ」 そんな価値観の根強さを感じる恋バナを聞きながら居心地の悪さを感じていた主人公は、別の友人たちとの恋バナでは勇気を出して『性的な惹かれを経験しづらい人もいる』と伝えてみることにしました。 性のあり方は、『どんな相手に惹かれるか』だけではなく『どのように惹かれるか、どのような関係を望んでいるか』も含めて人それぞれ。そんなことをあらためて考えさせられるエピソードです。
カフェで3人の友人と主人公が話している。主人公から見て左の女性が「今付き合ってる人が全然エッチしてくれなくてさ~!」と不満げに言う。中央の女性は「え~!あんたこんなに魅力的なのに?」と驚き、「浮気とか平気そう?」と尋ねる。右の女性は「新しい人見つけた方がいいんじゃない?」と提案する。それを見ていた主人公は「恋バナ、難しいな~…」と思いながら笑っている。3人のようすを見ながら「『恋人=セックス』ってするもの」ってイメージ、やっぱり根強いんだな~…」と考える主人公。
主人公のモノローグ「すべての人が性的な惹かれを経験するとは限らない そのことをうまく伝えられずモヤモヤしたこともあったけど、 ある日別の友人たちとお茶をしているとき…」 場面が変わり、別の友人2人とお茶をしている主人公のイラストが描かれ、そのうちの一人(友人A)が「今付き合ってる人がさ〜、結構性的なことに対してガード硬いっていうか…あんまり乗り気じゃなさそうなんだよね〜」と相談を始める様子が描かれている。
友人Aが「タイミングもあることだと思うけど、こっちはやきもきするんだよね〜…」と頭を抱えている。もう一人の友人(B)は「なんか大変そ〜」と相槌を打つ。Aは「真面目に考えてよ〜」と返す。主人公は「この2人になら話してもいいかな…?なんでも話せるメンバーだし…!」と考え、AとBに「そ、その人、もしかしたらアセクシュアル寄りってこともあるのかも?」と問いかける。AとBは「え?」と不思議そうな表情を浮かべる。
主人公が身振り手振りを交えながら「ほ、ほら、恋愛感情とか性行為したいって気持ちがあまりない人も結構いるし…!だから『性行為したい』って思ってるAとは、気持ち的にズレがあるのかも…」と説明している。下のコマでは、主人公が「あ、お相手さんのセクシュアリティを勝手に想像するのも乱暴だけど…!」と付け加える。話を聞いていたAとBは黙って考え込んでいる様子で、主人公は「つ、伝わった…?」と心配そうにしている。
主人公の話を聞いて納得した様子の友人Aが「なるほどね~…今までは付き合うときに『男か女か』ってこととしか見てなかったけど…相手は自分と違うセクシュアリティかもしれないもんね…」と頷く。友人Bは「どんな相手でも価値観のすり合わせって大事だよね~」と同意する。主人公は「伝わった~!よかった~!」と喜んでいる。 しかし「え~でも、もしそうだとしたらどうしたらいいんだろ~」とAは困惑した様子。友人Bは「お相手にもAの気持ちは伝わってると思うな~無理強いするのもダメだし、Aのモヤモヤもそのままじゃつらいし…」と助言する。主人公は「う〜ん...!」と考え込んでいる。
Aが「…わかった、今度2人でちゃんと話し合ってみる!」と決意を表明する。主人公と友人Bは「がんばれ~!」と応援している。 主人公のモノローグ「世の中には、自分が知っているよりもさまざまな性のあり方がある。 恋愛相談になったとき、そういう色々な可能性を前提に考えられると、 よりよい関係を探すヒントにもなるのかも、と思った話」 背景には、別の友人から「恋愛感情はないんだけど、どう断ればいいか…」と相談される主人公の姿が描かれている。主人公は「難しいね...」と友人に寄り添う。 おわり

セックスしない恋人はダメ?恋愛や交際における多様な価値観について

【マンガで解説】「恋人同士ならセックスしてあたりまえ」ってほんと?

恋愛トークには、様々な定番ネタがありますよね。

「あるある!」という内容で盛り上がったり、友人の恋愛相談に乗ったり…。しかし、そうした定番ネタのなかにも、ときどき「…とは限らないんじゃない?」というものがあることも事実です。

たとえば「男女の友情は成り立たない」という意見。

これも様々なところで議論されることが多い定番の恋愛ネタの1つですが、このときに「人によって好きになる対象は違う」ということを思い出すと、男女の友情を一概に語ることはできませんよね。

また、たとえば「付き合ってる相手がセックスに消極的である」ということに対する解釈。よくある意見としては、

  • 相手が浮気している
  • 自分の性的な魅力が欠けている

などがありますが、実はこれも「…とは限らないんじゃない?」というケースも多々あります。

今回は、いろいろな可能性を前提とすることで友人間の恋愛トークの解像度が上がったエピソードをマンガで紹介しました。このマンガをもとに、あらためてパートナー関係とセックスに関する定番ネタを考え直してみたいと思います。

パートナーとの相性、なにが大切?

「パートナーとの相性」を考えるとき、皆さんは何を真っ先に思い浮かべますか?

・金銭感覚
・家族像
・趣味
・食事の好み

などの価値観などが代表的かもしれません。

たしかにこれらは互いに近しい関係性を築いていく上で、重要になりやすいキーワードでしょう。そのため、交際を始める段階から意識をしている人も多いと思います。

一方で、これらの価値観も人によって優先順位が違うことは、多くの人が想像しやすいと思います。だからこそ誰かと付き合う前にすり合わせを意識したり、もしくは「価値観の違いで交際が終わってしまった/終わらせた」というケースもよく耳にするのでしょう。

でも実は、これ以外にも”違って当たり前”なことは他にもあるのではないでしょうか?

それがセックスに対する捉え方、そしてそれに関連するセクシュアリティです。

セックスの多様な捉え方

人によって様々なセクシュアリティがあるということは、少しずつ知られるようになってきました。女性として女性が好きな人、男性として男性が好きな人、性別問わず好きになる人などなど、いわゆる”LGBT”という言葉の認知度は、以前とは比べ物にならないほど高まっています。

しかし、セクシュアリティにはより多くの種類・複雑なグラデーションが存在していることはまだまだ十分には知られていないかもしれません。

たとえば、そもそも性的な欲求を持たない/持ちにくいセクシュアリティ(=アセクシュアル)もその一つです。

アセクシュアルとは?

アセクシュアル(Aセクシュアル、エイセクシュアル)とは、誰に対しても「性的魅力を感じない/感じづらい」および/または、「性的欲求を感じない/感じづらい」性的指向のことを指します。

アセクシュアル(英:Asexual)の”A”は、非・無を意味する英語の接頭辞。つまり、性的な感情を持たない人、もしくはほとんど持たない人という意味です。

アセクシュアルの人でも、パートナーと付き合う人もいますし「恋愛感情はある」という人もいます。またどの程度性的な行為を行うか(キスまでOK、手を繋ぐのはOK、ハグはOK)なども人によって異なります。

アセクシュアルについてより詳しく知りたい人はこちらの記事もお読みください。

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パートナーとの性生活のあり方は様々

アセクシュアルに限らず、性的指向(好きになる対象の性別)が一致しているからといって、セックスに対する価値観や性欲の多少が必ずしも一致するわけではありません。

・月に一度程度しかしたくない
・毎日、パートナーとスキンシップがしたい
・こういうプレイはしたい/したくない

お互いを傷つけないためには、どんな相手であっても価値観の擦り合わせが必要になってきます。

「付き合っているカップルだから、もしくは結婚しているカップルだから無条件に性的な価値観は一致している」と考えてしまうことは性暴力にも繋がりかねないので危険です。

その上で、相手と自分のすれ違いを感じたときには「セックスしたくないってことは、恋愛感情がもうないのかな?」と決めつけてしまう前に、「もしかしたら、自分と相手のセックスに対する認識が違うかもしれない」と言う前提で話し合ってみることが大切なのではないでしょうか?

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もちろん、誰かのセクシャリティを勝手に推測することは危険ですが、自分の中にある”当たり前”が「実はそんなに当たり前ではない」と気づくことで、これまで切り捨ててしまっていた恋愛の要素を丁寧に紐解いていくことができるかもしれません。

恋愛感情や性的欲求、パートナーを必要とするか、そして、パートナーとどのような関わりを持つか。

友人間での恋愛トークの中でも、自分にとっての「当たり前」が相手にとっての「当たり前ではない」ということをあらためて心に留め、無意識に自分の「当たり前」を誰かに押し付けてしまっていないか気をつけられるといいですね。

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