セックスしない恋人はダメ?恋愛や交際における多様な価値観について
恋愛トークには、様々な定番ネタがありますよね。
「あるある!」という内容で盛り上がったり、友人の恋愛相談に乗ったり…。しかし、そうした定番ネタのなかにも、ときどき「…とは限らないんじゃない?」というものがあることも事実です。
たとえば「男女の友情は成り立たない」という意見。
これも様々なところで議論されることが多い定番の恋愛ネタの1つですが、このときに「人によって好きになる対象は違う」ということを思い出すと、男女の友情を一概に語ることはできませんよね。
また、たとえば「付き合ってる相手がセックスに消極的である」ということに対する解釈。よくある意見としては、
- 相手が浮気している
- 自分の性的な魅力が欠けている
などがありますが、実はこれも「…とは限らないんじゃない?」というケースも多々あります。
今回は、いろいろな可能性を前提とすることで友人間の恋愛トークの解像度が上がったエピソードをマンガで紹介しました。このマンガをもとに、あらためてパートナー関係とセックスに関する定番ネタを考え直してみたいと思います。
パートナーとの相性、なにが大切?
「パートナーとの相性」を考えるとき、皆さんは何を真っ先に思い浮かべますか?
・金銭感覚
・家族像
・趣味
・食事の好み
などの価値観などが代表的かもしれません。
たしかにこれらは互いに近しい関係性を築いていく上で、重要になりやすいキーワードでしょう。そのため、交際を始める段階から意識をしている人も多いと思います。
一方で、これらの価値観も人によって優先順位が違うことは、多くの人が想像しやすいと思います。だからこそ誰かと付き合う前にすり合わせを意識したり、もしくは「価値観の違いで交際が終わってしまった/終わらせた」というケースもよく耳にするのでしょう。
でも実は、これ以外にも”違って当たり前”なことは他にもあるのではないでしょうか?
それがセックスに対する捉え方、そしてそれに関連するセクシュアリティです。
セックスの多様な捉え方
人によって様々なセクシュアリティがあるということは、少しずつ知られるようになってきました。女性として女性が好きな人、男性として男性が好きな人、性別問わず好きになる人などなど、いわゆる”LGBT”という言葉の認知度は、以前とは比べ物にならないほど高まっています。
しかし、セクシュアリティにはより多くの種類・複雑なグラデーションが存在していることはまだまだ十分には知られていないかもしれません。
たとえば、そもそも性的な欲求を持たない/持ちにくいセクシュアリティ(=アセクシュアル)もその一つです。
アセクシュアルとは?
アセクシュアル(Aセクシュアル、エイセクシュアル)とは、誰に対しても「性的魅力を感じない/感じづらい」および/または、「性的欲求を感じない/感じづらい」性的指向のことを指します。
アセクシュアル(英:Asexual)の”A”は、非・無を意味する英語の接頭辞。つまり、性的な感情を持たない人、もしくはほとんど持たない人という意味です。
アセクシュアルの人でも、パートナーと付き合う人もいますし「恋愛感情はある」という人もいます。またどの程度性的な行為を行うか(キスまでOK、手を繋ぐのはOK、ハグはOK)なども人によって異なります。
アセクシュアルについてより詳しく知りたい人はこちらの記事もお読みください。
パートナーとの性生活のあり方は様々
アセクシュアルに限らず、性的指向(好きになる対象の性別)が一致しているからといって、セックスに対する価値観や性欲の多少が必ずしも一致するわけではありません。
・月に一度程度しかしたくない
・毎日、パートナーとスキンシップがしたい
・こういうプレイはしたい/したくない
お互いを傷つけないためには、どんな相手であっても価値観の擦り合わせが必要になってきます。
「付き合っているカップルだから、もしくは結婚しているカップルだから無条件に性的な価値観は一致している」と考えてしまうことは性暴力にも繋がりかねないので危険です。
その上で、相手と自分のすれ違いを感じたときには「セックスしたくないってことは、恋愛感情がもうないのかな?」と決めつけてしまう前に、「もしかしたら、自分と相手のセックスに対する認識が違うかもしれない」と言う前提で話し合ってみることが大切なのではないでしょうか?
もちろん、誰かのセクシャリティを勝手に推測することは危険ですが、自分の中にある”当たり前”が「実はそんなに当たり前ではない」と気づくことで、これまで切り捨ててしまっていた恋愛の要素を丁寧に紐解いていくことができるかもしれません。
恋愛感情や性的欲求、パートナーを必要とするか、そして、パートナーとどのような関わりを持つか。
友人間での恋愛トークの中でも、自分にとっての「当たり前」が相手にとっての「当たり前ではない」ということをあらためて心に留め、無意識に自分の「当たり前」を誰かに押し付けてしまっていないか気をつけられるといいですね。