パレットークおすすめ映画『これからの私たち – All Shall Be Well』

ベルリン国際映画祭テディ賞受賞作の公開応援クラウドファンディング実施中 #PR

第74回ベルリン国際映画祭でテディ賞を受賞したレイ・ヨン監督の最新作『これからの私たち – All Shall Be Well』が、2025年12月13日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開されます。

香港を舞台に、長年連れ添った同性パートナーを亡くした女性が、法的に「家族」として認められない現実に直面する姿を静かに描き、観る人の心に深い余韻を残す一作。

パレットーク編集部のおすすめする本作の魅力と、この映画が問いかける社会の課題についてご紹介します。

あらすじ – 不平等な社会への、静かな抵抗

物語の主人公は、香港で40年間をともにすごしたレズビアンカップル、アンジーとパット。2人は穏やかで幸福な日々を送っていましたが、突然のパットの死がその日常を奪ってしまいます。法的に「家族」と認められないアンジーは、遺産や住居をめぐってパットの親族と対立することになり…。

日本にも重なる“いま”の問題

婚姻の平等(同性婚)が認められていない日本において、この映画で描かれるテーマは決して遠い話ではありません。

2019年2月に、法律上同性のカップルの法的な婚姻を求める裁判「婚姻の自由をすべての人に」訴訟が始まりました。それから6年がたった現在、6つの高等裁判所で「戸籍上同性のカップルが婚姻できない現状は憲法に違反している」という判決が出されています。

しかし、いまだに法整備は進んでいません。

パートナーの病気や死に際しての医療上の意思決定権、相続権の欠如、税制や社会保障の不平等など──。それらは「結婚できない」という単純な問題ではなく、日常の安心や人生設計を揺るがす現実的な課題。

映画の主人公のように、たとえ長い時間をともに支え合い、愛し合って生きてきたとしても、法律上の家族として扱われることのないカップルが、この日本にも多く存在します。

「愛し合っているのなら、結婚するかどうかは関係ないんじゃない?」
「堂々としていればいいんだよ」

そんな声がまだまだ聞こえる日本社会。その愛し合う2人の間に存在する、見えない、しかし限りなく高い壁は、決して「愛しあっている2人だけの問題」と片付けていいものではないのです。

婚姻の平等(同性婚)について、7割以上の人が賛成していると言われる日本。一方で、

  • なぜ婚姻の平等が必要なのか
  • 婚姻の平等が実現していないことによって、どのような困難があるのか

については、まだまだ広くは知られていない現状があります。

『これからの私たち – All Shall Be Well』は、こうした社会の不平等を“誰かの問題”としてではなく、「もし自分だったら」と考えさせてくれる作品です。アンジーの静かな悲しみと葛藤は、観る人に“愛”と“権利”のあり方を問いかけます。

 公開応援クラウドファンディング実施中

日本での公開をより多くの方に届けるため、10月17日(金)よりMotionGalleryにてクラウドファンディングがスタートしました。

リターンには、日本における婚姻の平等(同性婚)の実現を目指す「公益社団法人Marriage For All Japan」への寄付を含むチャリティ前売券や、パレットーク編集の公式パンフレットなど、本作ならではの特典が用意されています。

【プロジェクトページ】
もしもパートナーが急に旅立ったら?同性カップルが直面する相続問題を描いたベルリン映画祭受賞作の劇場公開に支援の手を!
https://motion-gallery.net/projects/allshallbewell

“All Shall Be Well”──それでも、すべてはきっと大丈夫

タイトルに込められた“All Shall Be Well(すべてはきっとうまくいく)”という言葉。私たちが生きる今日の社会で、その言葉の力づよさに応えていくために、これからの私たちになにができるのでしょうか?

この冬、ぜひ劇場で『これからの私たち – All Shall Be Well』をご覧ください。愛と尊厳、権利、そして「ともに生きる」ということを、あらためて考えるきっかけになるはずです。

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