「結婚の自由をすべての人に」訴訟の東京弁護団共同代表、寺原真希子先生に「なんで同性カップルが結婚できないのは憲法違反なのか」聞いてみた! 寺原:「同性カップルが結婚できないのは、明らかに憲法違反だ」と私たちは訴えています 寺原:まず現在日本では、同性カップルは法律上の結婚することができません。わたしたちはそんな現状を変えるため、2019年2月に全国で訴訟を始めました まり:フムフム 〈同性カップルの現状〉 配偶者ビザがおりない 病院で親族として認められない 共同親権が認められていない 原告側 子どもを一緒に育てたい! 命に関わるときにそばにいたい 同じ国で生活したい 弁護団 憲法論は任せて! 寺原:私たち弁護団は原告を、法律のプロとしてサポートしています
寺原:同性カップルが結婚できないのは憲法違反」そう言える理由は2つあります ①平等原則(憲法14条)が守られていない すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない 寺原:とありますが、同性が好きか、異性が好きか、それだけで結婚できるかどうかを決めるのは明らかに不平等です まり:海外でも最高裁はそう判断して、同性同士でも結婚できるようにしたんですよね ②婚姻の自由(憲法24条)が守られていない (1)婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない 寺原:なので、同性婚をみとめていないということは、同性愛者の婚姻の自由を侵害している、ということになりますよね まり:うんうん 寺原:でもこれに対して国の主張は 国「憲法24条は、『両性(男女)の合意』と定めていて、同性婚を想定していない」 「婚姻は伝統的に生殖と子の養育を目的とする男女の結合」 どーん まり:ええ~?!
まり:たしかに、憲法が作られた1946年には、同性婚は想定されていなかったかもしれないけど…それにしてもなんででしょう…? 寺原:「現在でも『想定していない』と言えるのか」についいて国は説明できていません 原告側:自分たちの存在自体が想定されていないと言われているようです… 寺原:それに「婚姻は伝統的に生殖と子の養育を目的とする」と言いますが、現状異性同士なら子供を持たないカップルも結婚できますよね? どっちも結婚可! まり:そもそも、子どもを産むか産まないかは個人の選択なのに… 寺原:以上の二つのポイントから、同性カップルが結婚できないのは憲法違反だと、私たちは訴えているわけです まり:とてもよくわかりました…!
まり:でも、最近はこんなデータも出てるんですよね! 同性婚を法律で「認めるべきだ」72%(2023年朝日新聞社世論調査より) 参考:https://www.asahi.com/articles/DA3S15561518.html 2021年65%賛成 22%反対 2015年41%賛成 37%反対 寺原:過去の調査と比べても、世論が変わってきているのがわかりますよね 寺原:セクシュアリティは自分の意志で変えることができないもの…そのことで誰も差別されない社会のためにいろんな立場の人が動き出しているんです! まり:少しずつ「婚姻の平等」実現に向けて進んできているのですね! 「婚姻の平等」サポートのために、私たちはなにができるの? 寺原:多くの人が婚姻の平等を支持している!」ということを、国や裁判所に示していくことが大事です たとえば 署名をする 選挙の時、婚姻の平等を支持している政党や候補者に投票する 裁判の傍聴に行く Marriage For All JapanのSNSでは最新の情報も発信しているので、チェックしてくださいね!

「同性カップルが結婚できないのは憲法違反」ってどういうこと?

「結婚の自由をすべての人に」

同性カップルの結婚の自由を求めて、2019年2月に全国で始まった同性婚訴訟。全国で訴訟が進んでいます。様々なところで話題になることが多くなったこの同性婚についてですが、とくに憲法の内容は複雑で難しい部分があるので、結局なんで同性婚が認められないのが憲法違反なのかよくわからないという方も多いかもしれません。

そこで、あらためて「どうして同性婚が認められない現状が憲法違反である」のか、東京弁護団共同代表の寺原真希子弁護士に伺ってきました。

ポイントとなる、憲法13条、14条、24条のそれぞれについてマンガとあわせて解説していきます。

同性婚が認められないことが憲法違反である理由

同性婚の実現を訴える原告側は「同性婚が認められていない今の法律は、憲法に違反している」と考えています。これまでの期日では、その理由として”憲法14条”と”憲法24条1項”についての主張を行ってきました。

憲法14条と憲法24条1項のそれぞれのポイントについて解説していきます。

ポイント①憲法14条(平等の原則)

こちらは、「私たち1人ひとりが、人種や性別、信じている宗教などによって差別されることは許されないよ」という平等の原則について定められた憲法です。

しかし実際には、異性カップルには認められている結婚が同性カップルには認められていない、という現状があります。「どのような性別の相手を好きになるか」という変えることのできない性的指向によって、結婚の自由が認められたり認められなかったりするわけです。

なので、「同性カップルの結婚の自由を認めていない現在の法律は憲法違反」と言えるのです。

ちなみに、2021年3月に札幌地裁で出た判決では、同性婚を認めていない現状はこの憲法14条に違反しているとの判決が出されました。

違憲判決について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ポイント②憲法24条1項(婚姻の平等)

こちらは、結婚の自由について保障した憲法です。結婚は「両性の合意にのみ基づいて成立」すると定めています。つまり、結婚する2人の当事者が「結婚したい」と言えば結婚できる、ということ。逆に言えば、当事者2人以外の人が結婚を強制することも反対することもできないということです。

この憲法が制定された当時は、今よりももっと”家制度”というものが日本社会に根強くあり、結婚というのも「家と家の結婚」とされてきました。なので多くの場合、結婚はその家で一番偉い”家長”によって決められてきたという背景があります。

そういう状況の中で、「個人の意思を尊重して、結婚の自由を保障しよう」と定められたのが憲法24条1項なのです。なので、ここでも「同性カップルの結婚の自由を認めていない現在の法律は憲法違反」と言えるのです。

ここで、「”両性”と書かれているからこれは男女のことでしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは憲法が制定された当時に同性カップルが想定されていなかった、というだけこと。時代の変遷を経て、今では同性愛を含めて性的指向は多様であるということが世界での共通認識になってきています。

ポイント③憲法24条2項

そして、さらに2020年2月に行われた東京地裁の第4回期日では原告側から、3つ目の理由が指摘されました。それが、憲法24条2項「結婚に関する事柄は、個人の尊厳に基づいてしなければいけないよ」と定める条文です。

この憲法の条文に対して、異性間にのみ結婚を認めている今の法律は、同性愛者の個人の尊厳を害しているのではないか?ということを、原告側は主張しています。

その理由を詳しく見てみましょう。

  1. 結婚というシステムには、相続や共同親権・在留資格など、日本で社会生活を送っていく上で、とても重要な権利が紐づけられているにも関わらず、そうした権利を同性愛者に対して認めないということは、尊厳を害している。
  2. 「自分では変えることのできない性的指向という、アイデンティティの根幹に関わる事柄によって結婚を認めない」ということは、個人の尊厳を害している。
  3. 「制度が変わらなければ永久に結婚の自由が奪われた状態が続いてしまう」という状況自体が個人の尊厳を害している。
  4. 「同性婚を認めない」という法律の存在自体が、「同性カップルは異性カップルよりも劣っている」という偏見を助長してい、同性愛者の尊厳を害している。

つまり国が同性婚を認められず、様々な権利が認められていない現状そのものが、同性愛者の個人の尊厳を傷付けているし、さらには「同性愛は異性愛に比べて劣っている」というメッセージを出していることになるのです。同性婚が認められていない現状では多くの当事者にとって、将来のライフコースを想像しづらい現状があります。

すべての人が尊重される法律を

以上、同性婚を認めない現状がなぜ憲法違反なのかについて解説してきました。そもそも憲法とは、私たち1人ひとりを個人として尊重するという目的のために作られたものです。現在の婚姻に関する法律は、同性カップルの個人の尊厳を尊重していると言えるでしょうか?

同性婚ができるようになったからといって、同性愛者がすべて結婚しなければいけないというわけではありません。ましてや特権を求めているのではありません。

同性婚が実現するということは、今の異性愛者と同じように、結婚すること/しないことの両方を当たり前に選択できるようになるということです。

同性婚訴訟はまだまだ続きます。法律の中でも、裁判の中でも、そして世の中でも、誰の尊厳も軽視されない。そんな社会に向けて、パレットークはこれからも「結婚の自由をすべての人に – 同性婚訴訟」をサポートしていきます!