ヘテロロマンティックとは?意味とヘテロセクシュアルとの違いについて

「異性に恋愛感情を抱く」というあり方を起点に、恋愛的指向の意味を解説

ヘテロロマンティックとは、自分と異なる性のあり方の相手(異性)に恋愛的惹かれを感じる恋愛的指向です。

ヘテロロマンティックは、多くの社会の中で「マジョリティ(多数派)」とされる性のあり方ですが、実はそのなかにも多様なあり方が存在しています。

この記事では、ヘテロロマンティックの意味や、「恋愛的惹かれ」「恋愛的指向」という概念、よくある誤解などを取り上げて詳しく解説します。

ヘテロロマンティックの意味と語源

ヘテロロマンティック(Heteroromantic)とは、自分と異なる性のあり方の相手(異性)に恋愛的惹かれを感じる恋愛的指向です。

ヘテロロマンティックのヘテロ(Hetero)は「他」または「異なる」という意味の古代ギリシャ語の接頭辞「héteros」に由来していると言われています。

Hetero(接頭辞):「他の」「異なるもの同士」
Romantic (形容詞):「ロマンティック」「恋愛的」

ヘテロセクシュアルとの違い

ヘテロロマンティックと混同されやすい言葉に「ヘテロセクシュアル(Heterosexual)」があります。

どちらも自分と異なる性のあり方の相手(異性)に向く惹かれを表す言葉ですが、大きく異なるのは「恋愛的惹かれ(Romantic attraction)」を指しているのか、「性的惹かれ(Sexual attraction)」を指しているのかという点です。

ヘテロセクシュアル(性的指向): 異なる性のあり方の相手(異性)に対して、性的に惹かれるあり方
ヘテロロマンティック(恋愛的指向): 異なる性のあり方の相手(異性)に対して、恋愛的に惹かれるあり方

一般的に「異性愛(者)」と言うときは、異性に対して性的惹かれと恋愛的惹かれの両方を抱く人(ヘテロセクシュアルかつヘテロロマンティック)を指すことがほとんどです。

しかし、「誰に性的に惹かれるか」と「誰に恋愛的に惹かれるか」は、必ずしも常に一致するとは限りません。この2つを分けて捉えるために用いられるのが、次にご紹介する「恋愛的指向」という考え方です。

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「恋愛的指向」って?

恋愛的指向とは、個人がどのような性のあり方に恋愛的に惹かれるか、あるいは惹かれないかというパターンを表す概念です。

「どのような性のあり方の人に対して恋愛的に惹かれるか」という点や、その惹かれの「感じ方」などを表す言葉として、ヘテロロマンティックのほかに、以下をはじめとしたさまざまなあり方が恋愛的指向に含まれます。

  • ホモロマンティック(Homoromantic):同性(女性の場合は女性に、男性の場合は男性に)に対して恋愛的惹かれを経験する
  • バイロマンティック(Biromantic):2つ以上の性のあり方に対して恋愛的惹かれを経験する
  • パンロマンティック(Panromantic):すべての性のあり方の相手に、もしくは相手の性のあり方に関係なく恋愛的惹かれを経験する
  • マロマンティック(Maromantic):男性や男性的な性のあり方の人に対して恋愛的惹かれを経験する
  • ウーマロマンティック(Womaromantic):女性や女性的な性のあり方の人に対して恋愛的惹かれを経験する

また、「アロロマンティック(Alloromantic)」という、他者に恋愛的惹かれを感じる人を包括するカテゴリーも存在し、ヘテロロマンティックはそのなかに含まれる恋愛的指向であると言えます。

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従来は「性的指向(Sexual orientation)」というひとつの枠組みの中で恋愛も性愛も一括りに語られることが多くありましたが、近年では「誰に性的に惹かれるか(性的指向)」と「誰に恋愛的に惹かれるか(恋愛的指向)」を分けて捉える考え方(スプリット・アトラクション・モデル)が浸透してきました。

このように、性的な惹かれと恋愛的な惹かれを区別して整理できるようになったことで、「性的指向」であるヘテロセクシュアルとは別に、異性に恋愛的惹かれを感じる恋愛的指向として「ヘテロロマンティック」という言葉が使われるようになったのです。

そもそも「恋愛的惹かれ」とは?

誰かに性的に惹かれたり、恋をしたりすることが当たり前とされ、また「性的な関係が恋愛の延長線上にある」と捉えられがちな社会では、あらためて「恋愛的に惹かれる」とはどういうことなのかについて考える機会は少ないかもしれません。

「恋愛的魅力」と訳されることもある「恋愛的惹かれ(Romantic attraction)」ですが、Aro/Aceコミュニティ(アロマンティック・アセクシュアルのコミュニティ)では、一般的に「他の人に恋愛的な魅力を感じる、または恋愛的な関係を持ちたい(付き合いたい)と思うこと」であるとされています。

そして、ヘテロロマンティックはこの恋愛的惹かれを異性に対して経験する恋愛的指向とされています。

ただし、「恋愛的惹かれ」の定義は当事者や研究者のあいだでも細かな違いがあり、恋愛的惹かれを経験する人のなかでも、一人ひとりの感覚はさまざまです。なかには、「『恋愛的惹かれ』というカテゴリー分け自体がしっくりこない」と感じる人も少なくありません。

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この記事では便宜上、コミュニティ内で一定程度共有されている性的惹かれの定義を紹介していますが、絶対的な定義があるわけではないという点には留意が必要です。

よくある誤解

ヘテロロマンティックは、異性に恋愛的惹かれを経験するという点においては社会の中で「マジョリティ(多数派)」にあたりますが、「異性愛者ならきっと〜であるはずだ」という強い思い込みによって、当事者に対する偏見や誤解が生じることも少なくありません。

誤解1:異性と恋愛するなら、性的なこともしたいんでしょ?

たとえ異性に対して恋愛的惹かれを経験するとしても、性的惹かれも同様に感じるとは限りません。ヘテロロマンティックというカテゴリーに含まれる人のなかにも、さまざまなあり方がグラデーションのように広がっています。

たとえば…

  • ヘテロロマンティックでヘテロセクシュアル:異性に性的にも恋愛的にも惹かれる
  • ヘテロロマンティックでアセクシュアル:異性に恋愛的惹かれを経験するが、性的に惹かれることはない
  • ヘテロロマンティックでバイセクシュアル:異性にのみ恋愛的惹かれを経験するが、性的惹かれは異性だけでなく、複数の性のあり方に対して抱くことがある

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また、ひとくちに「異性に恋愛的に惹かれる」といっても、「どのように恋愛的に惹かれるのか」についても、人によって異なる場合があります。

たとえば…

  • ヘテロロマンティックでデミロマンティック:信頼関係がある場合にのみ、異性に恋愛的惹かれを経験することがある
  • ヘテロロマンティックでフレイロマンティック:初対面や知り合ったばかりの異性に対しては強い恋愛的惹かれを感じることがあるものの、その相手と親密になり、感情的な絆や関係性が深まるにつれて恋愛的惹かれが薄れたり、完全に消滅したりする

誤解2:ヘテロロマンティックの人は、LGBTQ+に含まれない?

「ヘテロロマンティック=異性愛=LGBTQ+ではない(シスジェンダーでヘテロロマンティック・ヘテロセクシュアルな異性愛者)」と一括りに考えられがちですが、そうとは言い切れません。

前項で触れたように、ヘテロロマンティックのなかでも性的指向は人によって異なり、ヘテロロマンティックでありながらアセクシュアルやバイセクシュアルなど、性的マイノリティとしてのアイデンティティを持つ人がいます。

さらに、出生時に割り当てられた性と性自認が異なるトランスジェンダーの人のなかにも、異性に惹かれるヘテロセクシュアルの人が多く存在します。そのため、「ヘテロロマンティックだからLGBTQ+コミュニティの一員ではない」と単純に線引きすることはできないのです。

誤解3:交際相手はいたほうがいいし、いつかは結婚したいんでしょ?

「誰かに恋愛的に惹かれることがあること」と、「交際や結婚といった特定の関係性・ライフスタイルを選ぶこと」は、必ずしも直結するものではありません。

ヘテロロマンティックの人の中にも、特定のパートナーを持たずにひとりの生活に満足している人や、結婚という枠組みを選ばずに自分たちなりの付き合い方をする人など、さまざまな選択肢が存在します。

「誰かに惹かれることがあるからといって、誰もが交際や結婚を望んでいるとは限らない」ですし、「独身=寂しくて不幸な状態」と一括りにすることもできません。どんな関係性や生き方を心地よいと感じるかは、個人によって異なります。

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ヘテロノーマティビティ(異性愛規範)とは

私たちの社会では長い間、「男性と女性が恋をして結婚し、性的な関係を持ち、子どもを育てる」というあり方が「普通」とされてきました。学校での会話やメディア、法制度に至るまで、あらゆる場面で異性同士の関係が前提として扱われる傾向があります。

こうした現状の背景には、ヘテロノーマティビティ(Heteronormativity)と呼ばれる規範があると言われています。日本語では「異性愛規範」とも呼ばれるこの規範は、「恋愛や性愛の対象は異性であることが当然であり、それ以外のあり方よりも標準的である」とされる社会的な枠組みや価値観のことです。

もちろん、異性愛者として生きることや、異性同士の親密な関係に幸せを感じること自体は、だれにも否定されるものではありませんし、後ろめたく感じる必要もまったくありません。自分自身のあり方を肯定することは、どのような性的指向であっても尊重されるべきです。

ここで目を向けたいのは、「特定のあり方だけが『正しい』」とされてしまう社会構造です。

社会全体に異性愛規範が根づいていると、無意識のうちに以下のような生きづらさや不均衡が生じることになります。

多様な性のあり方が「異常」や「未熟」とみなされる:異性以外に性的惹かれを経験する人や、性的惹かれを経験しないアセクシュアルなどのあり方が、「普通でない」「そのうち治る」といった偏見にさらされやすくなる
存在そのものが見落とされる(不可視化):「恋人はいる?」「旦那さん/奥さんは?」といった日常の問いかけひとつをとっても、異性愛者であることが前提とされ、それ以外の当事者はその場に「いないこと」にされてしまいがち
制度や権利の不平等につながる:婚姻制度や税制、パートナーとしての権利保障などが異性間のカップルを中心に設計されているため、そこから外れる人々が法的な保護や社会的な保障を受けにくくなる格差が生まれる

これまで「標準」と信じ込まれてきた枠組みを一度問い直すことが、どのような性のあり方やライフスタイルを持つ人であっても、対等に選択肢を持ち暮らせる社会へとつながっていくのではないでしょうか。

まとめ

本記事では、ヘテロロマンティックの意味や性的指向の考え方、そのなかに含まれる多様なあり方、そして社会の中で生じがちな誤解について解説しました。

ヘテロロマンティックは、異性に恋愛的惹かれを感じる恋愛的指向であり、社会の中で「マジョリティ(多数派)」にあたります。しかし、「異性に惹かれるからみんな同じ」というわけではありません。

性的惹かれの有無や惹かれのグラデーション、性自認の違い、そして望む関係性やライフスタイルの形は、一人ひとりまったく異なります。

「普通」という枠組みで誰かのあり方を決めつけることなく、それぞれの人が心地よい関係性や生き方を自由に選択できる視点を持っていけるといいですね。

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