「無意識の偏見」の研修なのに?!と思ってしまった話。研修を受けているボブヘアーの女性がびっくりしているイラスト。
社内の「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を扱う研修に参加した主人公は、研修担当者がとある思い込みに気づいていないことを目の当たりにします。関心を持って学んでいたとしても、誰もが無意識のうちに偏見を持ってしまっているもの。そのことを認めたうえで、そうするべきかについて、あらためて考えさせられるエピソードです。
主人公モノローグ「これは私が転職先の会社で、『アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)』についての研修を受けたときのこと…。男性の研修担当者の話を聞いているイラスト。『提示されたシナリオに対して、複数のイラストからあてはまると思う人物を3秒以内に選ぶ』という参加型のセミナーでした。
問題「Aさんは育児のために会社をやめたが、子どもが大きくなり、自分の時間を持てるようになった。趣味で始めたハンドメイド作品を販売しようとSNSを始めた」担当者「さて、この説明を聞いて思い浮かぶAさんの姿は、次のうちどれでしたか?」選択肢、①男性のイラスト、②女性のイラスト
ほとんどの参加者が②女性のイラストを思い浮かべている様子。担当者「でもこれ、男性でもあてはまりますよね?」参加者たち「たしかに…!」主人公モノローグ「こんなふうに、私たちが無意識のうちに抱いている思い込みを指摘する形式でセミナーは進んでいきました」担当者の「ハンドメイド=女性って、無意識に思っちゃいますよね〜」というコメントにふむふむ…と真剣に聞いている主人公。
そして…。担当者「次は、こちらのシナリオについて考えてみましょう」問題「交通事故にあった親子が病院に運ばれてきた。息子は重症で、父親はすでに亡くなっていた」
「少年の手術を担当する腕利きの外科医はショックを受けてこう言った。『これは私の息子だから、手術できない』」担当者「さて、この医師にあてはまるのは、次のうち誰だと思いますか?」選択肢、①男性医師、②女性医師
主人公も含めた参加者のほとんどが①の男性医師を思い浮かべている様子。担当医「ふむふむ。これ、実はひっかけ問題なんです。『外科医』と聞いて『男性』だと思ったかもしれませんが…」
担当者「子どもの父親は亡くなっているわけですから、この外科医が男性なはずありませんよね?」それを聞いて「え?」と思う主人公。担当者 「これまでの質問は男女どちらでも当てはまるものでしたが…今回の問題は、ちゃんと考えれば答えは1つしかないとわかるんです」あちゃ〜たしかにそうだ、なるほど〜と他の参加者の反応がある中で、いぶかしげな顔をしている主人公。
主人公モノローグ「たしかに『腕利きの外科医』と聞いて、私も反射的に男性を思い浮かべました。主人公「普段からこうした決めつけは気をつけている方だと思っていたので、反省…」主人公モノローグ「しかし同時に、研修担当者の『この外科医は男性であるはずがない』という、『同性同士の親』を想定していない決めつけには、違和感を覚えました。
主人公モノローグ「私には、将来をともに過ごしていきたいと考えている、同性のパートナーがいます。一緒に住んで、子どもを育てられたら…そんなふうに2人の未来を想像しながら、これからの生活を楽しみに日々暮らしています」手を繋いで歩いている、幸せそうな主人公と同性パートナーのイラスト。
主人公モノローグ「研修の参加者の中には、もしかしたら私と同じように、同性パートナーとの未来を考えている人がいたかもしれません。そして、すでにこの社会には、同性同士で子どもを産み育てている人たちがたくさん暮らしています」女性同士の夫婦が町中でベビーカーを押しているイラスト。
主人公モノローグ「アンコンシャス・バイアス」をテーマに掲げる研修でさえ、こうした多様な家族のあり方を「存在しない」ことにして、異性愛を唯一の「答え」として語ってしまう…。この状況こそ、無意識の偏見に気づくことがどれほど難しいのかを、示していると思いました。
主人公モノローグ「性別に関する決めつけ以外にも、さまざまな属性に対する偏見を、私たちは知らず知らずのうちに持ってしまっています。『国籍や民族』『障害』『年齢』などなど…。だからこそ、「自分は大丈夫」「偏見なんて持ってない」と、思い込んで安心しないことが大切だと思います」「STOP」の看板を持っている主人公「『自分も持っているかも』と考えてみることが大切!」
主人公モノローグ「もちろん私自身も気をつけていこうと思う日々ですが、企業や組織が率先して、多様な生き方を想定した研修や制度を整えてくれたら…所属する一人ひとりにとっても、重要な学びのきっかけになると思います」研修後のアンケートで、今回の研修でもやっとしたことを書き込んでいる主人公、勇気を出して送信する。おわり。

【マンガで解説】アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)って何?

「無意識の偏見」の研修なのに!?と思ってしまった話

近年、企業や自治体で「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」に関する研修が開かれる機会が増えています。

「偏見や思い込みなんて、自分には関係ない」と思っている方もいるのではないでしょうか。

しかしアンコンシャス・バイアスは、無意識のうちに私たちの思考や行動に影響を与えているため、誰も無関係ではいられません。

今回の記事では、そんなアンコンシャス・バイアスについての研修にまつわる体験談マンガを紹介しながら、アンコンシャス・バイアスとは何か、そしてどう向き合えばよいのかについて考えてみたいと思います。

アンコンシャス・バイアスって何?

アンコンシャス・バイアスとは、誰もが持っている無意識の偏見のことです。

たとえば、

  • 「笑顔の素敵な看護師さん」と言われると、無意識に女性を想像する。
  • 「親が単身赴任」と聞くと、父親が単身赴任に行っている様子をイメージする
  • 「女性と男性」という言葉の並びに対し、男性が女性より前に書かれないことに違和感を覚える

などなど…

「無意識の」という名前の通り普段は意識にのぼることがないため、意識調査(性別役割意識について尋ねるアンケートなど)では測ることができないというのがアンコンシャス・バイアスの厄介な特徴です。

たとえば表面的には「ステレオタイプはよくない」と考えていたとしても、無意識のうちに上記にあげたような思い込みを持っていることは少なくないですよね。

このようにアンコンシャス・バイアスは、本人の意思とは関係なくその人の思考や判断に影響を与えているため、正すことは簡単ではないといわれています。

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アンコンシャス(無意識の)と呼ばれている理由

今回のマンガで印象的だったのは、研修を進行していた担当者自身の思い込みが明らかになる場面です。

研修内で出題された問題に対し、担当者は「子どもの両親=男女のカップル」という考え方を前提にしている様子でした。

しかし主人公が指摘するように、実際の社会にはさまざまな家族の形があります。

たとえば

  • 里子を迎えて暮らす同性カップル
  • 生殖補助医療を利用して出産し、子育てをしている同性カップル
  • 親が離婚後に再婚し、子どもにとっての「母親/父親」が1人だけではないケース

などなど…

こうした可能性があるのにもかかわらず、研修の担当者が「もう一人の親は男性に違いない」と考えてしまっているところを目にした主人公は、知識があり、普段から気をつけていても、完全にバイアスから自由になることは難しいのだと悟ります。

そしてジェンダーのことについて普段から注意を払っていたはずの主人公自身も、「腕利きの外科医=男性」と頭の中で無意識に結びつけてしまっていたことに気づいたのでした。

ポイントは「自分は大丈夫」と確信しないこと


「自分には偏見なんてない」
「私が差別をするはずがない」

そんなふうに断言する人を目にしたことのある方も多いかもしれませんが、その言葉の前後にどんな理由づけがあったとしても、個人が一切の思い込みを持たずに生きることはほぼ不可能です。

むしろ「自分にはない」と否定してしまうことで、意識的に改善できるはずの思い込みすらも見過ごされる原因になってしまいます。そうした小さな思い込みが積み重なれば、知らず知らずのうちに誰かを排除したり、差別的な構造を維持する行動をとってしまったりすることにもつながりかねません。

だからこそ大切なのは、「自分は絶対に大丈夫」と確信しないことです。

  • もし無意識の偏見によって誰かを傷つけてしまったら、きちんと謝る。
  • 普段からさまざまな視点を積極的に取り入れる。
  • 自分が「想定外だ」と感じたときに、立ち止まって考えてみる。

そうした小さな実践の積み重ねが、誰もが安心して過ごせる環境を少しずつ築いていく力になるはずです。

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さいごに

アンコンシャス・バイアスは、誰の中にでも存在します。その事実を否定して「自分にはない」と言い切るのではなく、「自分にもある」と認めたうえで、どう向き合うかが大切です。

無意識に抱いてしまう思い込みを正すのは簡単ではありません。しかし、少しずつ気づき、間違ったときには素直に謝り、学び直すことで、私たちの社会をより開かれたものへと変えていけるのではないでしょうか。

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