【マンガで解説】プライド月間に私たちが想像する未来。彼氏の弟の結婚式で思ったこと
今年もプライド月間がやってきました。
1969年、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」で警察が行った不当な踏み込み捜査に対する抵抗から始まった「ストーンウォールの蜂起」。これを記念して、毎年6月には世界中でLGBTQ+コミュニティの権利啓発やコミュニティを祝福するイベントなどが行われています。
日頃からLGBTQ+に関するトピックを発信しているパレットークですが、今年のプライド月間には「The future is queer “ストレート”じゃない未来をあなたと想像するために」というテーマのもと様々なコンテンツを発信していきます。
今回は、同性のパートナーと交際する主人公が、彼氏の弟の結婚式に参加した際に感じたエピソードをマンガでご紹介しています。エピソードを寄せてくれた方は、いつもにも増して異性愛規範を強く感じると同時に、次世代の子どもたち、これからの社会のあり方についても考えさせられたと言います。
“当たり前”ってなに?異性愛規範とシス規範とは
私たちの社会は長い間、「男性と女性が恋をして結婚し、子どもを育てる」というモデルを“普通”としてきました。それだけでなく、性自認も「生まれたときに割り当てられた性別=自分の性」とする考えが前提になっている場面が多くあります。
こうした考え方を異性愛規範(ヘテロノーマティビティ)、そしてシスジェンダー規範(シスノーマティビティ)と呼びます。異性愛規範とは、恋愛・性愛の対象は異性であることが当然とされる考え方。シス規範は、自分の性自認が出生時に割り当てられた性別と一致していることを前提とする考え方です。
もちろん「異性愛者として生きること・シスジェンダーとして生きること」自体はなにも間違ったことではありません。問題は「このあり方だけが “正しい”」とされる社会構造。それ以外のあり方が「例外」や「異端」とされてしまう、もしくはそもそもその存在がないことにされてしまう点にあります。
たとえばマンガの中でタクは親戚のおじさんから「これからいい出会いもあるさ」という言葉をかけられます。
「男性は女性と恋愛をするもの」
「恋愛・結婚が幸せな人生の道筋」
というおじさんの価値観は、目の前にいるタクの同伴者(主人公)とその2人の関係性をないことにしてしまっています。
これが積み重なると、異性愛者・シスジェンダー以外の人は「自分の存在は想定されていない」と感じたり、もしくは自分の生き方を説明し続けなければいけなくなったりと、何気ない空気のなかに誰かを排除する力が働いてしまうのです。
世界と日本で広がる不安と可視化されない声
異性愛規範やシス規範による生きづらさは、個人の問題にとどまりません。いま、世界でも日本でもLGBTQ+を取り巻く状況は揺れ動いています。
日本では、婚姻の平等(同性婚の法制化)を求める訴訟が各地で続いています。日本の「結婚の自由をすべての人に」訴訟では、今年3月に大阪高裁が地裁唯一の合憲判断を覆し、これまでの5つの高裁判決はすべて違憲判決という結果になりました。しかし国の法改正は一向に進まず、多くの法律上同性のカップルが法の枠外に置かれたままとなっています。
それだけでなく、今年2月には、精子や卵子の提供を伴う不妊治療の対象を法律婚の夫婦に限定し、同性や事実婚のカップルなどへの提供を行った医療機関に罰則を科す内容を含む「特定生殖補助医療法案」が参議院に提出されました。
世界的に見ても、LGBTQ+コミュニティに対する政治的な攻撃が広がっています。特にトランプ大統領が再選したアメリカでは、LGBTQ+、特にトランスジェンダーの人々の人権をないがしろにするような大統領令が次々と出され、すでに一部の州ではトランスジェンダーに対する医療アクセスの制限や、トランスジェンダー排除の法案が進められており、トランスジェンダーやノンバイナリーの子どもたちの生きる権利が脅かされています。
さらに、Aセクシュアルやノンバイナリー、Aロマンティックといったセクシュアリティやアイデンティティは、社会のなかでまだまだ可視化が進んでいません。存在が認識されづらいことで、「いないことにされる」空気が生まれ、孤立や自己否定感を生みやすい状況があります。
The future is queer “ストレート”じゃない未来をあなたと想像するために
シスジェンダーであることや、男女間の恋愛や結婚を前提とした社会の制度や風潮。 “ストレート”な一本道を前提としている社会で、それに沿わない性/生を生きる人々は、自分の望む未来を「実現できるもの」として想像することがまだまだ難しい現状が世界中で続いています。
だからこそ、私たちは “ストレート”じゃない未来を想像し、選び取っていくことが必要なのです。私たち一人ひとりの日常の中にある “当たり前”に問いを立てること、小さな違和感に気づくことが最初のステップになります。
たとえば、「彼氏・彼女いるの?」ではなく「パートナーいるの?」と尋ねてみる。結婚や出産を “人生のゴール”とする会話に違和感を覚えたら、そのことをシェアしてみる。多様なセクシュアリティやジェンダーのあり方について学び、まだ可視化されづらい声に耳を傾ける。その一歩が、誰かの居場所や、未来の社会の空気を変えるきっかけになるはずです。
またこうした “個人の意識”に留まらず、法律や制度を「よりよいもの/1人ひとりの生の実情を反映したもの」に変えていくことがとても重要です。
署名で声をあげるには
日本でも同性婚の実現を!政府・国会は「注視」でなく、最高裁判決を待たずに今すぐ同性婚法制化へ動いてください。
今国会で提出されている#特定生殖補助医療法案の修正を求めます
プライド月間は祝福の月であると同時に、過去を振り返り、今を見つめ、未来を描く時間でもあります。”ストレート”な価値観だけじゃない、多様な未来を想像し、その実現に向けて歩みを進める。そんなきっかけをこの6月にみなさんと一緒に作っていけたら嬉しいです。
The future is queer.
あなたの想像が、未来の空気を変えていきます。
梅雨の湿気をふきとばす!プライドマンスに聴きたいブチアゲプライドソング募集中
プライド月間に際し、読者のみなさんのお気に入りプライドソングを募集し、PalettalkのSpotifyアカウントにてプレイリストを作成・公開します(プレイリスト名は未定です)。ぜひお気に入りの曲を教えてください!
テーマ:梅雨の湿気をふきとばす!プライドマンスに聴きたいブチアゲプライドソング
募集期間:2025年6月15日まで※Spotify上に公開されていない曲は対象外となります。また未成年を含む幅広い年代を対象としたプレイリストとなりますのでご了承ください。お寄せいただいたすべての曲を採用できない場合もございます。あわせてご了承ください。
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