パンセクシュアルの私が感じたモヤモヤ
高校に入ってすぐ、私は同じクラスの女子を好きになりました。 この恋は叶いませんでしたが、気持ちを伝えられて、「嬉しい」「ありがとう」と返事が返ってきたので、後悔はありません
私が彼女のことを好きだと友達に打ち明けたとき、みんな受け入れてくれて、応援もしてくれました。でも…。
「Aさん、男子に間違われるくらいかっこいいもんね~」「相手がAさんだもん、好きになっちゃってもしょうがないよ!」
「Aちゃんが男の子みたいでかっこいいタイプだから、みんな受け入れてくれたってこと…?」 「Aちゃんの性のあり方はわからないけど、男性役のようなものを引き受けさせてしまったのかも」とも思いました
私は自分をパンセクシュアルだと思っており、隠してるつもりではないのですが、友達との恋バナや好きなタイプの話では、異性の話を中心にするようになりました。その方がみんなに気を遣わせないかな…と、どこかで感じてしまうからです。 (パンセクシュアルとは)相手の性のあり方に関係なく魅力を感じるセクシュアリティのこと。
「好きになるかどうかは人それぞれだし、その相手が異性とは限らない」友人たちもそのことは知ってると思います。 しかし「男女」が「恋愛をするもの」という思い込みは、まだまだいろいろな形で強化されているのではないかと思います。 もちろんだんだん世の中は変わってきているけれど…。
しかしパンセクシュアルである私は、今後どんな性のあり方を好きになるかわかりません。いわゆる「女の子らしい」タイプの人を好きになることもあるでしょう。
そんな時、私は友達や親や周りの人に、そのことを伝えられるだろうか…?どんな反応が返ってくるだそうか…?でも、信頼している友達だからこそ、話せる時がきたら話したい。そうも思ったのでした。

パンセクシュアルってなに?「パンセクシュアルの私がモヤモヤした話」から考える

パンセクシュアルというセクシュアリティを知っていますか?

レづビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった、「LGBT」に含まれる性のあり方は少しずつ一般的にも知られるようになってきましたが、その他に多様に広がる性のあり方についてはまだまだ認知度が低いのも現状です。

社会の中で十分に可視化がされていないことによって、誤った認識のもとモヤモヤする発言を投げかけられてしまうことも…。

またマンガで紹介したように、まだまだ「異性愛的な関係性」が一般的とされる社会で、パンセクシュアルの人に対しても「異性愛的な関係性」を投影したり、強制したりしてしまう場面も多く見られるようです。

寄せられたパンセクシュアルに関する体験談をマンガでご紹介したところ、共感する声が多く届きました。

そこで今回の記事では、あらためてパンセクシュアルとは何かについて学んでいきたいと思います。多様な性のあり方について知ること、多様な性のあり方を持つ人の体験を知ることによって、一緒に少しずつ当たり前をアップデートしていきましょう。

パンセクシュアルってどんなセクシュアリティ?

パンセクシュアルとは、相手の性のあり方に関係なく魅力を感じるセクシュアリティ(性的指向)のこと。広義のバイセクシュアルに含まれ、アンブレラタームの1つとされています。

パンセクシュアルのパン(Pan)はギリシャ語で「すべて」を意味する言葉から由来しています。日本語では「全性愛」と訳されることからもわかるように、すべての性のあり方が性的指向の対象となります。近い性のあり方としてのバイセクシュアルは、「両性愛」と訳されます。

一般的には「男女の両方を好きになる性のあり方」とされていますが、近年はノンバイナリーなどの性のあり方も含め「2つ以上の性のあり方を好きになる性のあり方」と説明されることも増えてきました。

読み込み中...

「好きになる相手の性のあり方が一つに限られない」という点で、パンセクシュアルとバイセクシュアルは似ています。

「好きになった相手が、たまたま男性だった/女性だった/ノンバイナリーだった」
「人を好きになるときに性別を気にしたことがない」
「男性も女性も好きになったことがあるけど、バイセクシュアルの説明がなんとなくしっくりこない」

もしこんなふうに感じたことがある方は、もしかしたらパンセクシュアルに当てはまる性のあり方かもしれません。

バイセクシュアルとは何が違うの?

バイセクシュアルとは、2つ以上の性のあり方に惹かれるセクシュアリティです。現象としてはパンセクシュアルととても似ているため、違いがわかりづらいと感じる方も多いかもしれません。

もちろん人によって捉え方は様々ですが、誰かに魅力を感じるときに「性別が条件にならない」という感覚がある人は、もしかしたらパンセクシュアルに近いかもしれません。

パンセクシュアル/バイセクシュアル共に、

・身体的、恋愛的、感情面など様々な形での魅力を感じることがある
・相手の性のあり方によって異なる惹かれ方をすることがある
・時とともに惹かれ方も変化する可能性もある

とされています。

人によって捉え方も様々ですが、細かな違いについて知ることで、自分の性のあり方を理解したり振り返ったりするきっかけになるかもしれません。

また、当事者ではない人にとって、パンセクシュアルやバイセクシュアル違いは曖昧なもの・わかりづらいものかもしれません。そして自分以外の人の性のあり方について完全に理解したり共感したりすることはそもそも不可能なこと。

しかしその違いについて「大した問題じゃない」と捨て去ることや、「本当はそんなはずない」と否定してしまうことは、とても大きな暴力になりえます。

目の前の相手が持つ性のあり方について尊重することは、その人自身を尊重することにつながるのではないでしょうか?

パンセクシュアルに近い性のあり方いろいろ

パンセクシュアルはバイセクシュアルのアンブレラタームであると先述しましたが、バイセクシュアルのアンブレラ(傘)に含まれる性のあり方は、パンセクシュアルの他にも様々です。

このような、複数の性のあり方に魅力を感じるさまざまなセクシュアリティをまとめて「Bi+」と表現する場合もあるようです。

たとえば

・(セクシュアリー)フルイド…ときと状況によって惹かれる性のあり方が変わる
・ポリセクシュアル…複数の性のあり方に惹かれる
・オムニセクシュアル…すべての性に魅力を感じる(相手の性のあり方を認識している/する傾向にある)

などなど。

広義のバイセクシュアルには、上記の性のあり方を始め様々なセクシュアリティが含まれます。

これらの違いについてもより深く知ることによって、「自分の性のあり方がよりクリアにわかる」もしくは「人の性のあり方を尊重できる」ことにつながっていくかもしれません。

パンセクシュアルを可視化していくために

パンセクシュアルをはじめ、まだまだ社会の中で可視化が十分に進んでいない性のあり方はたくさんあります。

そのため、1年の中で可視化を目的とした記念日が様々に制定されています。

パンセクシュアル可視化の日は、5月24日。その他、12月8日はパンセクシュアル・プライドデーに制定されています。

パレットークでは、パンセクシュアル可視化の日に際してパンセクシュアルに関する体験をInstagramで募集しました。

近日、パレットーク公式YouTubeの「あちゃこちゃらじお」にて、お寄せいただいた声を紹介するエピソードを公開予定です。ぜひチャンネルの登録をしてお待ちください。

参考:
Pansexual Visibility Day (24 May)
WHAT’S THE DIFFERENCE BETWEEN BISEXUAL AND PANSEXUAL?
What is Pansexuality? 4 Pan Celebs Explain in Their Own Words

読み込み中...
読み込み中...