SOGIE（ソジー）って何？ – 誰もが持つ、性のグラデーションについて

SOGIEの意味とは

性の多様性は、近年注目を集めることが急激に増えてきました。

私たちの性の多様性を作り上げている要素は非常にたくさんありますが、近年は主に性的指向と性自認、性表現の3つについて着目することが多く、SOGIE（ソジー）とはその頭文字をとった略称です。

• 性的指向（Sexual Orientation）：どのような性の相手を好きになるか
• 性自認（Gender Identity）：自分の性をどのように捉えているか
• 性表現（Gender  Expression）：どのようなジェンダー表現をしたいか/しっくりくるか

※このなかの性的指向と性自認のみをピックアップしてSOGI（ソジ）という使われ方をすることもあります。

このSOGIEという言葉は、性のあり方を示すために使われていますが、同じくLGBTQ+も性のあり方に関係のある言葉です。もしかしたら「両社の違いがわかりづらい」と感じている方もいるかもしれません。

SOGIEとLGBTQ+の違いとはなんなのでしょうか？

“LGBT”とSOGIEの違いとは

“LGBT”は「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」の頭文字をとった言葉で、いわゆる性的マイノリティの総称として使われています。

一方SOGIEは先ほどもご説明したとおり、性的指向と性自認、性表現の頭文字をとったもので、これは”LGBT”に含まれる人もそうでない人も、すべての人が持つものです。

たとえば、生まれたときに割り当てられた性別が男性で、性自認も男性。恋愛対象は女性という人にも異性愛者／シスジェンダーというSOGIEが存在します。

また、生まれたときに割り当てられた女性で、性自認も女性。恋愛対象は男性という人も異性愛者／シスジェンダーというSOGIEが存在しています。

これまでいわゆる”普通”とされてきた性のあり方を持つ、異性愛者やシスジェンダーの人もSOGIEを持っている、ということになります。

また、当然性的マイノリティとされる人々の性のあり方はL・G・B・T以外にも様々です。たとえば、恋愛感情や性的欲求を持たない／持ちづらいセクシュアリティのAセクシュアル、恋愛感情は持つけれど両思いになることは望まないリスロマンティックなどなど…。

性の多様性を限定的に「LGBTQ+とそれ以外」と捉えるのではなく、「性のあり方はグラデーションのように広がっていて、すべての人がその一部である」と捉えるのがSOGIEだと言えます。

SOGIEという言葉を使う意味

では、なぜ性の多様性を考えるときに”LGBT”ではなくSOGIEを使うことが増えてきたのでしょうか？

それは「”LGBT”とそうではない人」をわけて捉えるのではなく、すべての人が関わる問題として捉えられるからです。

また、性の多様性と「”LGBT”とそれ以外」では捉えきれません。たとえば、マンガのなかに登場するのは「誰かに恋愛感情を抱いたことがない」と感じる人物です。彼女は、自分がいわゆる世間で”普通”とされている性のあり方（異性愛者でシスジェンダー）には当てはまらないけれど、とはいえ”LGBT”のどれかに当てはまるわけでもないと感じていました。

彼女はAロマンティックと呼ばれるセクシュアリティに当てはまるのだと推測されますが、「性の多様性は、L・G・B・Tとそれ以外だけである」という捉え方では、より多様な性のあり方を認識することが難しくなってしまいます。

性的指向のなかにも「恋愛的魅力を感じる相手の性別」と「性的魅力を感じる相手の性別」が一緒の人もいれば、そうではない人もいます。そして、そもそもそうした魅力を他者に対して持たない／持ちづらい人々もいます。そうしたセクシュアリティをAセクシュアルと呼びます。Aセクシュアルについてはこちらの記事をお読みください。

そこでSOGIEという言葉を使う意義が、浮かび上がってくるのです。

“LGBT”という言葉が世間一般に広がり、性のあり方は多様であることは知られるようになってきましたが、多くの人がまだまだ「自分とは関係のないこと」と捉えてしまっている場合が多いようです。また、”LGBT”の認知度が高まる一方で、それ以外のセクシュアリティについては、まだまだ十分に知られていません。

SOGIEという言葉を知ることで、性の多様性について自分事に捉えられる人が増え、様々な性のあり方が当たり前に想定される社会になるといいなと思います。

すべての人が性のグラデーションの中にいる

とはいえ、これまで自分のことを「”LGBT”は関係ない」と考えていた人にとっては、すべての人がSOGIEを持っていると言われてもピンとこないかもしれません。もしくは、「自分はいわゆる”普通”の性のあり方とは違うけど、”LGBT”はしっくりこない」という人もいるかもしれません。

そんなときは、パレットーク特製の《性のあり方診断シート》で自分の性のあり方を埋めてみてください。

先述の通り、このシートにあげた要素以外にも、性のあり方を構成しているものはたくさんありますが、自分の性のあり方をあらためて可視化してみると、世間一般で”普通”とされる性のあり方とは少し違う所などが見つかると思います。そして、「どこからが普通でどこからが普通じゃない」ことがわかります。

またそれと同時に、SOGIEという言葉は「一言でレズビアンやゲイといっても、その中には様々な揺れや違いがある」ことを知るきっかけになります。

「異性愛者でであればみんな性のあり方は同じ」

「ゲイの人はみんな同じ性のあり方を持っている」

「トランスジェンダーの人であれば、みんな性のあり方を持っている」

と思う人もいるかもしれませんが、実はそんなことはないのです。

性のあり方はグラデーションのように広がっていて、誰一人としてまったく同じ性のあり方を持つ人はいないということを知るきっかけにしてほしいと思います。

まとめ

以上、性のあり方を示すSOGIEの意味を解説してきました。

すべての人が持つSOGIEの持つ意味を知ることで、私たちはみんな、性のグラデーションの一部だということが分かると思います。

SOGI Eという言葉をきっかけに、「ここからが普通で、ここからが普通じゃない」という切り分けや、「”LGBT”とそれ以外」という捉え方ではなく、「性のあり方はすべての人に関係している」ということを知り、自分事として捉えられる人が増えていくといいのではないでしょうか。