【レズビアン可視化週間】不平等な現状に風穴を。大江千束さんインタビュー
4月26日は「レズビアン可視化の日」。
そして今年は、可視化の日が含まれる4月21〜28日が「レズビアン可視化週間」とされています。
「レズビアン可視化週間」とは、レズビアン当事者を祝福し、同時にすべてのLGBTQ+の女性、そしてノンバイナリーの人々への連帯を示すことを目的とした1週間のこと。
今回パレットークでは、このレズビアン可視化週間に合わせ、公益社団法人「Marriage For All Japan 結婚の自由をすべての人に」とのコラボを実施。「結婚の自由をすべての人に訴訟」原告の大江千束(おおえ ちづか)さんにお話を伺い、マンガを制作しました。
本記事では、マンガで紹介しきれなかったお話を、トピックごとにお届けします。
80年代後半〜90年代のレズビアンコミュニティとフェミニズム
80年代後半、大江さんが初めて足を踏み入れたレズビアンコミュニティには、さまざまな背景をもつ人たちが参加していました。
たとえば、レズビアンやバイセクシュアルの女性だけでなく、今で言うところのノンバイナリーやXジェンダー、トランス男性に当てはまる人たちなど。当時はまだ「LGBT」という言葉が知られていなかったこともあり、さまざまな性のあり方も含めて「レズビアン」とカテゴライズされていたのです。
最近では多様な性のあり方を表すラベルが増えてきたことによって、それぞれがしっくりくる言葉を見つけ、安心できるようになっている。そんな変化を、大江さんも身近に感じていると言います。
また、大江さんが関わっていたコミュニティの中にはフェミニズム(ウーマンリブ)の運動に携わってきた女性たちも多く、フェミニズムの考え方、そして「お互いの人権を尊重しよう」という意識がしっかりと共有されていたとのこと。
アクティビズムの延長線上にあるようなコミュニティの空気に、大江さんはあらためて「やっぱり個人が主体性を持って発信していいんだ」と背中を押してもらえたと言います。
インタビュー中には第2波フェミニズムのスローガン「個人的なことは政治的なこと」にも触れながら、日本社会全体の課題として、人権の問題として、婚姻の平等やジェンダー平等に取り組んでいくことの大切さを語ってくださいました。
婚姻制度に批判的だった大江さんが、婚姻の平等を求める理由
現在は「結婚の自由をすべての人に訴訟」の原告として活動されている大江さんですが、以前は婚姻制度の家父長的なあり方への違和感から、「レズビアンであるということは置いておいても、私は結婚しないだろうな」と考えていたそうです。
男性は18歳なのに対し、女性は16歳と定められていた「婚姻開始年齢」(2022年に男女ともに18歳に改正)や、女性にのみ課されていた「再婚禁止期間」(2024年に廃止)、いまだに選択的夫婦別姓が実現していないことなども、婚姻をめぐる法の不平等さを物語っていますよね。
しかし小川さんとのパートナー関係を30年以上続けていくうちに、お互いの関係性にも、ご自身の考え方にも変化が訪れます。
人生の半分近くを「未来を共にするパートナー」として生きてきても、戸籍上の性別が同じというだけで異性カップルのように関係が保証されないこと。そのせいでどちらかの身に何かあったとき、「ただの友人」や「ただの知り合い」、「ただの同居人」とみなされてしまう現状。
ふたりで一緒に歳を重ねていくにつれて、現行法の不平等さを実感する機会が増えていく…。
そんななかで、次第に「権利獲得運動の1つの着地点として、同性婚の法制化が必要である」と考えるようになったそうです。
同性婚を求めるレズビアンカップルとして声を上げることで、婚姻の平等、そしてジェンダー平等をめぐる現状に風穴を開けたい。そんな思いが、大江さんが原告になった理由のひとつでした。
判決の行方を注視?残すは「国会への働きかけ」
2025年4月現在、訴訟は大詰めを迎え、数年のうちに最高裁判決が出されることが予想されています。
2025年3月25日の大阪高裁の判決では地裁での唯一の合憲判決が覆され、これまで出された5つの高裁判決はすべて違憲判決という結果です。

高裁で5連続の違憲判決が下されているにもかかわらず、日本政府は「判決の行方を注視する」との答弁を続けています。
主要メディア等の世論調査では、婚姻の平等に対する「賛成」の割合は常に「反対」の割合を上回り、調査によっては賛成が7割または8割を超えているものもありますが、その中で「実際にアクションをおこしている」という人はまだまだ多くはありません。
「なんとなく、同性婚はできてもいいんじゃない?自分には関係ないけど…」と思っている人が、「傍観」から「行動」への一歩を踏み出すことが大切なのではないでしょうか。
婚姻の平等を実現するために、いま、あなたの声が必要です。もし「結婚の自由をすべての人に訴訟」を応援したいと思った人は、一緒にできることから始めてみませんか。
署名「日本でも同性婚の実現を!政府・国会は「注視」でなく、最高裁判決を待たずに今すぐ同性婚法制化へ動いてください。」はこちらから↓
https://www.change.org/MarriageForAllJapan2025