タイトル 居酒屋でもやっとしたクエスチョニングの話。前編。このマンガにはLGBTQ+の人たちを傷つける発言があります。ご注意ください。
1 これはクエスチョニングな自分が大学3年の頃、居酒屋でバイトをしていたときの出来事です。
2 ガヤガヤわいわい。賑わっている居酒屋内。店員も忙しそう。
3 主人公、食器を片付けながら、店長が不在なため代わりに来てくれた係長に声をかける。「すみませ〜ん、手が離せないので、係長、お客さん対応お願いします!」係長「は〜い」
4 お客さん対応に行く係長。
5 係長、ニヤニヤした顔で戻ってきて主人公に声を掛ける。「ねえねえ」
6 係長、ニヤニヤした声色で「3名様4卓にご案内したんだけど、エルジービーティーだったわ」と主人公に伝える。絶句する主人公。後編につづく。
主人公、びっくりして内心怒りながら「はあ!?◯名様◯卓にご案内です!」って言えばいいのに、なにその言い方…?店に来た大事なお客さんに変わりはないでしょ…てか、そもそもLGBTQ+だってなんで決めつけるの…?」
2 主人公、作り笑いで「はあ、そうですか…最近は、性のあり方も多様ですからね〜…」
3 主人公、イライラしながら「はあ…言い返せなかった…まだイライラする…」と飲み物を運んでいく。
4 思えば、当時働いていたその店は、結構モヤッとすることが多かった 主人公の回想その1。男性店員の「その皿取ってやろうか?やっぱ女の子には無理だったか〜」という言葉に「バカにしたような言い方だな…」とモヤッとする。回想その2。別の男性店員の「客引きは女の子に頼むよ〜。かわいい感じでおねがい!」という言葉に「女だからってそう求められるの嫌だな…そもそも自分はクエスチョニングだし、女の子扱いも違和感…」とモヤッとする主人公。
制服は男子はパンツ、Tシャツ、ハチマキ、靴、前掛けに対して、女子は浴衣、前掛け、足袋、草履だったり…。その仕組みに対して「別に分ける必要なくない…?」と思っている主人公
自分のような人が偽りなく過ごせる場所がちょっとずつ増えてきている最近だけど、クローズアップしてみると、まだまだ改善が必要な組織はたくさんある。社会人になった主人公、居酒屋でビールを飲みながら「見直して、改善してくれる会社が増えてほしいな…」と思っている主人公。おわり。

居酒屋でモヤっとしたクエスチョニングの話

※今回の記事では、飲酒に関する言及があります。閲覧にはご注意ください。また、未成年者の飲酒は法律で禁じられています。
※マンガ内では、LGBTQ+に対する嘲笑的な発言が含まれます。

最近は、少しずつ性の多様性に対する認知も高まり、ジェンダーの決めつけをしないようにしようとする動きも一般化してきています。

しかし、実際には少しクローズアップすると偏見や差別的な発言がまかり通てしまう場面がまだまだ多く残っているのも現実です。

クエスチョニングの主人公が居酒屋バイトで経験したモヤモヤをマンガで公開したところ、たくさんの反響がありました。

今回の記事では、お酒や居酒屋、バイトといったキーワードを切り口に、読者の皆様から集まったモヤモヤをご紹介していきます。

パレットークに集まったみんなのモヤモヤ

今回のマンガを公開した際に、居酒屋やバイト先でもやっとした体験をInsgagramのストーリーで募集したところ、こちらでもたくさんの声が集まってきました。

「女性=お酒に弱い」?

  • ソフトドリンクや度数低いお酒が私に来て、旦那に私のお酒がわたされる。強めのお酒が好きなのに
  • 飲み会中の、「〇〇は男っぽいからもっと飲ませよう」「〇〇ちゃんは労わろう」のような発言
  • 「え、お酒弱いんだ!意外~」

実際には当然、お酒に強い女性もいれば、お酒に弱い男性もいます。甘いお酒が好きな男性もいれば、そうではない男性もいます。

しかしなんとなく「男性はお酒が強い/好き、女性はお酒が弱い/飲まない」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?

2020年、大手ビールメーカーのハイネケンが「Drinks have no gender(飲み物にジェンダーはない)」というフレーズと共に公開したCMがSNS上でも話題になりました。

こうした発信が共感を集める様子を見ると、またパレットークにもこのような体験談はしばし送られてくることからも、無意識の偏見がまだまだ根強く残っていることを感じさせられます。

1人でお酒を楽しみづらい女性

他にも、こんな意見も集まってきました。

  • ひとり飲みのとき、「女の子なのにすごいね」「かわいいから奢ろう」など。性別抜きに人として見てほしい。
  • ひとりでお酒を飲んでいるとナンパ待ちと勘違いされる
  • 1人でバーで飲んでいたら隣の人からセクハラをされた。せっかくのお酒が楽しめず悔しかった。

社会の中で「男性的なもの」とされるものを楽しむ、男性以外の人はしばしば肩身の狭い思いを強いられることがあります。お酒やバー、居酒屋もまた、そうした「男性的なもの」のくくりに入り、女性が1人で自分らしく楽しむことが難しい状況が生まれやすいのかもしれません。

そのため、「ひとりでバーに行く=寂しい」というようなレッテルを貼られてしまうことも多いようです。

また、1人でお酒を楽しんでいるところで、迷惑なナンパやハラスメントの被害にあってしまうケースも…。女性が安全にお酒を1人で楽しむことがまだまだ難しい現状があるのかもしれません。

バイト先で…

また、バイト先でのモヤモヤした体験も多く寄せられました。

  • バイトで働いていたら「性別どっち?」って言われたこと。「どっちでしょうね」って返しました。
  • 居酒屋でバイトをしていましたがサロンが違ったり女性は基本的に厨房に入れてもらえませんでした。
  • お客さんに”お姉さん”と呼ばれるのにモヤっとします。”店員さん”でよくないですか?
  • 働いていた時、帰り際の酔ったおじさんたちから女性店員のみ握手を求められた。

マンガのなかにもありましたが、とくにバイト先や職場では「男女二元論」に基づいて勝手に性のあり方を決めつけられてしまうシーンが多くあるようです。

また「客と従業員」という立場の差を利用したハラスメントも起こりやすく、職場でのモヤモヤに対して従業員の立場から声を上げることが難しい問題もあります。

同じく、ストーリーで「モヤっとしたけど言い返せなかった経験」について質問したところ、95%の人が「言い返せなかった経験がある」と回答していました。

「本当にこれは”男女”で分ける必要があるのだろうか?」
「この発言は性別を決めつけてしまっていないか」

一瞬でも立ち止まって考えられる人が少しでも増えていく必要があるのではないでしょうか。

パレットークの公式YouTubeで配信している「あちゃこちゃらじお」でも、今回のテーマを取り上げました。マンガのエピソードをスタート地点にあちゃこちゃとお話ししていますので、もしよければご視聴ください。